「そう! 秘密にしてほしいんだ!」
すがるような視線で言うと、詠斗がなにかを納得したように「へぇ」と呟いた。

「まぁ確かに、男子校でその顔じゃ色々と大変か」
なにかを察したように自分の顎先に指を当ててつぶやく。

男子校だからという理由だけで隠しているわけではなかったけえれど、あながち間違いではないので修正はしないでおいた。

「わかった。燐音が可愛いことは誰にも言わないって約束する」
そう言われた瞬間全身から力が抜けて大きく息を吐き出した。

「よかったぁ……!」
「でも、その代わり」

次の瞬間、詠斗が不敵な笑みを浮かべたのを燐音は見逃さなかった。
安心したのもつかの間、真顔に戻ってジッと詠斗の次の言葉を待つ。

秘密を守る代わりになにかをしてくれ。
そう言われるのだろうと覚悟を決める。

初めて会ったばかりの詠斗がなにを要求してくるのかは、想像できなくて恐怖心が沸き起こってきた。
到底無理な要求だったらどうしよう。