俺が答えると安堵したのか、そのまま隣にペタンと座りこむ。


金曜日の夜にあたしはなにをしているんだ、と隣からぶつぶつ聞こえてくる。






「……喉、かわいちゃった。これって誠梨くんの?飲んでもいい?」


舞さんはそう言って、俺の横においてあった1本のレモンの天然水を手に取る。


「ま、まって!」

「?」


キャップを開ける手を止めて、不思議そうに俺を見る舞さん。


「……?誠梨くんとなら別に気にならないよ、関節キス」


それは、少しは俺に気があるから?

それとも、そもそも恋愛対象として見られていないから……?


そうじゃないと否定したかったけれど、その考えが頭をよぎったのも事実。


俺の頭のなかは、舞さんには透けて見えているのか時々不安になってくる。


出かかった言葉をぐっと飲みこんで、俺が飲んだ飲み口に舞さんの唇が触れるのをただただ眺める。


水を飲んでいるだけなのに、この人はどうしてこんなにも綺麗なんだろう。


日陰にいて陽の光が当たらないはずなのに、俺には舞さんだけがキラキラと輝いているように見える。