中学の入学式後に

「どこかで会いました?」

そんな一言をくれたのは桜(さくら)だった。
僕も初めて見たときどこかで会った気がした。
四月、五月、六月と月日が過ぎていくのにつれていつの間にか仲良くなっていた。
こんなに僕と話してくれる女子はいなかった。
桜は男女問わず人気があった。
顔も可愛くてどこか幼いところもある。
そういうところが人気なんだろう。
僕には程遠い存在で真逆だ。
会話する友達もせいぜい2人くらいなのだから。
話せるわけもなく中学校生活が終わった。

高校は別々の学校へと進学した。
僕は男子校だ。
女子のいない空間はやはりうるさくなる。
けど話せる友達もできて僕の高校生活は完璧だと思っていた。
桜の高校はわからないがまた話したいと思うばかりだ。

気がつけば高校二年生。
今思えばここからが桜との本当の仲が良くなる瞬間だったと思う。
けどその時はまだ限られた時間があることに僕は気づけなかった。