こんな時、理斗君だったらどうするんだろう───ふと、そんなことを考えた。

きっと理斗君は慰めたりしない。

何の解決にもならないから。

もっと相手の為になることを考える。

そして、行動してくれる。

足を使って、自分の時間を使って。

瑞樹は今、複数の思いが絡み合って身動きがとれなくなっている。

だったらどうすれば……。

わたしにできることそれは───答はすぐそこにあった。

岬さんから話を聞くことだ。

 岬さんの気持ちを知らなきゃどこにも進めない。

ただ悲しみに身を浸しているだけになってしまう。

岬さんの気持ちを聞き出すには距離を縮める必要がある。

「瑞樹、わたし岬さんに会って気持ちを聞いてみるよ。

それには少し時間が掛かってしまうかもしれないけど。

瑞樹がここに居ることはね、まだ黙ってようと思う。

岬さんの気持ちを聞いて、

瑞樹がどうしたいか決めてからでいいと思うから」

「真琴は絵を書きながらそんなことを考えてくれていたんだね」

パレットを床に置くと瑞樹はわたしから目を逸らす。

「正直、岬の気持ちを知るのが怖いよ。

また、情けないことを言ってるね僕は」

「ううん、その怖いって気持ちは岬さんを好きって気持ちだもん」

瑞樹は自分の胸に手を当てた。

「これは岬を好きって気持ち」

「うん」

瑞樹は胸に手を当てたまま目を閉じる。

「じゃあこの気持ちは残しておくことにするよ。

そして真琴、君にお願いする。

岬の気持ちを僕も知りたい。

もしもそれが僕にとって不幸な答えであっても正直に話して欲しい」

瑞樹は目を開けると決心した顔でわたしを見た。

「うん、約束するよ」

「ありがとう」

 わたしは明日岬さんに会いに行くと決めた。