瑞樹は椅子から立ち上がると窓から外を眺めた。

「真琴、こんな退屈な話にもう少し付き合ってくれる?」

「退屈なんて思ってないよ」

「もうそろそろクライマックスだから」

瑞樹はわたしに笑顔を見せるとまた窓の外に目線を戻す。

「僕は結局岬に別れを告げられてしまったんだ」

「えっ…」

「やっぱり彼を忘れることができないと泣きながら岬は僕に訴えてきたよ。

僕が岬にしてきたことは、岬が求めているものではなかったんだ。

岬を待つことも、あいつに追い返されて泣きながら電話が掛かってくる度に迎えに行くことも、

もう二度と会いに行かないという約束を何度破っても何度でも許したことも……全部岬が求めているものではなかったんだ」

「じゃあ…岬さんは瑞樹に何を求めていたの?」

「それがわからなかったから僕は振られたのさ」

あっさりと告げられた言葉が酷く悲しかった。