「真琴?」

「ん?」

「これからは僕1人で岬に会いに行くよ。

ここには21時に残り2時間の状態で戻ってくるから、それから絵の続きを描こう」

「1人で行って平気なの?」

「夜は人が少ないしそれに、ここに戻って来たら真琴が居る」

瑞樹の言葉がとても嬉しかった。

「それでも、わたしが一緒の方がいい時は言ってね」

「僕はとっくに真琴に対して遠慮というものを忘れているらしいよ」

「それがいい」

 夜、わたしはベッドの上でローテンブルクの街並みをスマホで見ていた。

瑞樹の絵は本当に素敵だった。

今更ながらあの絵にわたしが筆を入れてもいいのか心配になっている。

瑞樹の絵はローテンブルクの魅力を色彩の力で壊してしまわないよう細心の注意が払われていた。

あんな技術があれば本物よりももっと魅力的に描くことも幻想的に描くこともできるのに、

そうしないのがいかにも瑞樹だった。