「あとどのくらい時間ある?」

「5分かな」

わたしは部屋の隅にあるイーゼルを指差した。

「あのイーゼルに立て掛けてある絵、見てもいい?」

「未完成だけど、どうぞ」

 イーゼルの前に立つとわたしは息を飲んだ。

「えっ凄い……これ瑞樹が描いたの?」

そこに描かれていたのはどこか外国の街並み。

「未完成で終わってしまったけど」

「ここって想像の世界?」

「現実の世界、ドイツのローテンブルク。

ここはプレーンラインと呼ばれる場所で……そうだスマホで調べると出てくるよ」

わたしは瑞樹の言うそこを検索してますます驚いた。

「瑞樹の絵と一緒!まるで絵本の世界……こんな場所が実際にあるの?信じられないよ。

それと瑞樹の絵……本当に凄い」

「真ん中にある木組みの建物に色を入れて石畳をもう少し丁寧に描き込めば完成だったんだけどね」

見比べれば見比べるほどその表現力の高さに思わずため息が漏れてしまう。