瑞樹の演奏が終わり気が付くとわたしは泣いていた。

「真琴……どうして?」

「あっごめん、ちょっと……」

慌てて涙を拭き取るけれど次から次へと流れてしまう。

涙の理由はわかっている。

それはあまりにも瑞樹の演奏に感動したから。

だから、もうあの演奏ができないのだと思うと悲しくて仕方がなかった。

それと、岬さんと瑞樹が一緒に演奏をする姿を想像してしまったから。

「真琴、泣いてる理由……聞かせてくれる?」

正直に瑞樹に言うべきか迷った。

端的に言えば瑞樹が死んでしまったことが悲しくて泣いている訳だから。

それで泣かれても瑞樹が困ってしまうだけ。

「真琴?教えて」

瑞樹の優しい声はわたしの迷いを奪う。

今、心の中にある気持ちをそのまま言葉にした。

「瑞樹の演奏本当に本当に素敵だった。だからもう弾けなくなっちゃったんだって思ったら悲しくなって。

それと……岬さんと一緒に演奏してるところを想像した……」

 瑞樹はにっこり笑う。

優しい笑顔に続く言葉がますますわたしを泣かせた。

「そうだったんだね。僕は本当に感謝するよ真琴に会えたこと。

こうなってしまってから会えたことに」

「瑞樹……っ」