玄関扉を開くと中庭が見える窓の前にちひろが座っていた。

「おかえり真琴」

その響きはとても久しぶりで胸の奥がきゅっと苦しくなった。

「ただいま」

「真琴に部屋用意したよ」

「部屋?」

「そう、真琴が自由に使っていい部屋」

階段を上がって行くちひろの後を付いて行った。

「ここが真琴の部屋」

そこは夏君の部屋の向かい。

ちひろに促されドアを開けた。

「うわっ」

大きな出窓がついた8畳程の部屋にはダブルサイズはありそうなベッドと細いフレームがスタイリッシュなガラス製の白いテーブル、

それに合った革製の白い2人掛けソファーがあり、

高い天井から下げられたペンダントライトはチューリップを逆さにしたような形をしていてとても可愛い。

そして出窓からは庭が一望できた。