8月の16時はまだまだ暑く、こんな状況でも汗が流れてしまう。

瑞樹を見るとブレザーを着ていても一滴も汗は流れていない。

同じ太陽の下に居るのにやっぱり違うということが証明されてしまう。

でも、もうそれを怖いとは感じない。

辛い時に、悲しい時に、心が震えるのは瑞樹も一緒だから。

 瑞樹はさっきまでそこにいた岬さんの残像を見ている。

「瑞樹……」

初めてその背中に触れてみた。

温度はない。

でも、ここに瑞樹が存在しているということを手のひらで感じ取ることが出来る。

少しすると手から瑞樹の感触が消える。
 
わたしは1人、帰路についた。