自分の情けなさに落胆していたのも束の間、岬さんの目の前には白色の高級車が停まる。

運転席には何とも好感の持てない風貌の男性。

わたしにとっては、ということなのだけど。

 薄いブラウンのサングラスをかけていて、ツーブロックの茶色い髪の毛はワックスでセットされ、

白のシャツの上にはジャラと音がしそうなゴールドのネックレス、ハンドルを持つ手には厚みのある腕時計がされていた。

 彼は運転席から身を乗り出すと助手席のドアを開ける。

岬さんは車に乗り込みそして……彼は岬さんの肩に左手を回すと抱き寄せた。

「えっ何で……」

 彼は岬さんを抱き寄せたまま車を発進させる。

岬さんは人目を気にするようにきょろきょろするとなぜか目線を空へと向けた。

とにかく人の目が気になるようだった。