静かな会場でわたしが独り言を話しているみたいにならないよう瑞樹はスマホに文字を打つ。

[次が岬の番だよ]

わたしがうなずいたのを確認するとまた文字を打つ。

[岬は今までの出場者とはちょっと違うよ]

わたしはバッグからスマホを出すと文字を打った。

[わたしにもわかるかな?]

瑞樹は[聴けばきっとわかるよ]と打つとにこっと笑った。

 それから少しすると番号と名前がアナウンスされ、岬さんがステージに現れた。

レースの生地にキラキラと光るスパンコールと花柄の刺繍が施されたシルバーのドレスを身に纏い、

普段は下ろしている背中までのワンレングスの髪の毛を後ろでコンパクトにまとめた姿で登場した岬さんは制服姿の時とはまるで別人だった。

学校に居る時だって美人で目立つけれど、今ステージに立っている岬さんはさらに美しい。

 ステージの真ん中で一礼する岬さん。

その姿は誰よりも上品で素敵だった。