瑞樹と約束をしていた今日、空には丸い月が浮かんでいる。

わたし達はこの前と同じ場所に座っていた。

「瑞樹が言っていた通り今日は満月だね。

こうしてじっくり見ること今までなかったよ。

満月ってもっと大きくてこう…ぼんやりしているのを想像していたけど小さくて、でも眩しいくらい銀色に光っているんだね」

「そうだね。いつもより夜が明るい」

月を見上げるその横顔はやっぱり目を引く美しさだ。

そして、ちひろと同じく中性的な雰囲気を持っている。

「やっぱりちひろと雰囲気似てるね」

「兄弟だからね。ねぇ真琴、しばらくの間僕と行動を共にして欲しいんだ。

岬に僕の気持ちを伝えるのはまだ先のことになると思う」

月を見たまま「いいかな?」と聞く瑞樹に返事をするとアルバイトのことと、

家の事情を話した。