昨日はあんなに話したのに、今日は冷たくあしらわれてしまった。

席に戻り、カバンにグミをしまうと後ろから綾音さんの不機嫌な声が聞こえてきた。

「ちょっと理斗!学級委員と何話したの?」

怒気がこもった声に体が硬直した。

理斗君が「別に何も」そう話すと先生が入ってくる。

「は~い授業始めるぞ席に着け~」

 綾音さんは席に向かう途中理斗君の脇を通ると「あんなやつと話してんじゃねぇ」と言ってわざと机にぶつかった。

理斗君は斜めになった机を直すと教科書を取り出す。

 知らなかった、たった一言でもわたしと言葉を交わすとあんな風に言われてしまうことを。

だから理斗君は足も止めず目も合わせずにわたしの脇を通り過ぎたんだ。

そうだ、この前もわたしと話しているところを綾音さん達に見られるとまずいから話の途中で教室を出たんだ。

そっか、そういうことだったんだ……悪いことをしてしまった。