「それじゃあ長く感じるだろ?」

理斗君は呆れたようにそう言うとわたしの背中に手を回す。

もう片方の手が曲げた両膝の下にすっと入り一瞬宙に浮いたような感覚があって気が付くとわたしの体は理斗君の両腕の中にすっぽりと納まっていた。

理斗君は後ろからわたしを抱きしめると左右に揺らす。

「長い人生の中のたった2年だよ」

「あっ…」

わたしはバッと後ろを向いた。

「何だよ急に」

「凄い理斗君!そう言われたら2年が短く感じる!」

「長いのはその後に俺達が一緒に居る時間の方」

「理斗君……」

わたしは理斗君の胸に顔を埋めると背中に回した両腕にぎゅっと力を込めた。

理斗君はそれとは反対にわたしの体を優しく包む。

「俺は、お前の前から居なくなる訳じゃないから。

だから、また自分から人が離れて行くとか、そんな風に考えるなよ。俺は必ず真琴のところに戻ってくるから」

「うん。でも、理斗君かっこいいから心配。

きっと、外国人にもモテるんじゃない……」

「たぶん」

「理斗君の馬鹿」

「はははっ馬鹿は真琴っ、そんな心配すんな。

いや、心配させないようにするよ」

理斗君はわたしの不安ごと抱きしめてくれた。