部屋に行くとすぐにストーブをつけた。

「あっ適当に座って、狭くて座る場所あまりないけど」

理斗君は壁に寄り掛かって座ると唐突に話す。

「どこに行ってんの、真琴の父親」

「お母さんとの思い出の場所巡りだって。

ついこの前スマホにメッセージが届いてた」

「そういう時間が必要だったんだろうね」

すぐにそんな言葉が出た。

理斗君はいつも相手の気持ちになって考える。

やっぱりこの人が好きだと思う。

 理斗君はペットボトルのふたを開けると飲むことなく畳の上に置いた。

大切な話をする前触れのように感じてわたしは背筋を伸ばした。