「真琴は優美高校なんだね」

「うん、ちひろと一緒。瑞樹は頭いいんだね怜秀学園の制服」

「……」

会話は途切れ途切れで続かない。

少しすると瑞樹が話し出す。

「僕の彼女も優美高校なんだ」

「えっ、じゃあわたしが知ってる人かもしれない」

「……」

また、会話は途切れてしまう。

その理由にようやく気付いた。

瑞樹は周りに人が居ない時にだけ話しているんだ。

わたしが独り言を話している変な人にならないように。

「中村岬(なかむらみさき)、それが僕の彼女の名前」

あまりに知っているその名前に一瞬言葉を失った。

中村岬さんとわたしは同じクラス。

彼女は見た目の美しさもさることながら正真正銘のお嬢様で、

その上品な振る舞いや丁寧な言葉遣いからみんなに一目置かれている存在。

わたしは彼女と瑞樹を頭の中で並べた。

まさしく美男美女カップルだ。

　彼女は特定のグループに身を置くことはせず、昼休みもお弁当を食べると本を読んでいるような人だ。

だからと言ってわたしみたいに孤立している訳ではない。

誰かが声を掛けてくれば笑顔で答え、何か気になることがあれば自分から声を掛けていた。