未来にはいろんな出来事が待ち受けていると思う。

たくさんの出会いや新しい経験、目標ができたり夢を追いかけたり、

この町を出て違う場所で何かに挑戦することもあるかもしれない。

瑞樹はそんなわたしの未来をすでに想像していた。

だから自分が一緒に居ては未来のわたしの妨げになると思ったんだ。

瑞樹の姿が見えるのはわたしだけで、瑞樹と話せるのもわたしだけ、だから。

じゃああの時そう言ってくれたら、なんて思ったりもしたけれど、

きっと、いや絶対にわたしは「そんなの気にしないでいい」と言ったに違いない。

だから瑞樹は言わなかった。

 瑞樹と一緒に居る時にずっと感じていた強烈な信号のような合図。

どんなに抵抗しようとも残された時間は決まっているように感じていた。

でも、瑞樹の意志でそれを変えることができるかもしれないと、そんな風にも思っていた。

あれは全部瑞樹から感じ取っていたもの、今ではそう思うしかない。

ただ確実なことは、瑞樹が本当にわたしを大切に思ってくれていたということ。

ありがとうが言いたい。

文句が言いたい。

わたしに隠しごとなんて酷いよ!て、会って言いたい。

 流れる雲に隠されていた太陽が顔を出す。

瑞樹は今……寂しくない?

冷たいものが頬を伝い慌てて拭う。

わたしはまだ、瑞樹のことを思うと泣いてしまうみたいだ。