「おはよう真琴さん」

「おはよう岬さん、寒いから待ってなくてもいいのに」

瑞樹が居なくなってからもうすぐ3ヵ月。

わたしと岬さんはお互い名前で呼び合うようになった。

そしてわたし達は何でも話せる、本当の友達になった。

もちろんわたしと理斗君が付き合っていることも岬さんは知っている。

というかクラス全員が知っている。

理斗君があっさりバラしたというか。

「真琴さん、今日も放課後は理斗君と一緒にどこか行くの?」

「うん、新しくできた雑貨屋さんに行く約束してるよ」

靴を履き替えると岬さんと肩を並べ教室へと向かう。

「本当、2人はいつも一緒だね」

来年の春には理斗君はアメリカに行ってしまう。

期間は2年。

わたしと理斗君はできる限り一緒に過ごしていた。

「うん、来年の3月にはアメリカに行っちゃうから……もう簡単に会えなくなるし……あっごめん!」

瑞樹と会えない岬さんに何言ってんだろうわたし……。

謝るわたしに岬さんは首を横に振った。

「謝ることないって。だって」

足を止めると岬さんは廊下の窓から外を見る。

サッカーのゴールネットが風に揺れている、遠くに見える木も電線も。

岬さんはにっこり笑うと言葉を続けた。

「瑞樹はいつだってすぐ傍に居るって真琴さんが教えてくれたんだよ。

わたしはいつも瑞樹と一緒」

この綺麗な笑顔を瑞樹は見てるかな?