「わたしはなつきの詩に何度も助けられた」

わたしの顔を見ると「あれは真琴が気の毒で書いた詩」と、よくわからないことを言う理斗君。

「どういうこと?」

理斗君は何か思い浮かべるような表情で話し始めた 

「公園で泣いていた子供に声を掛けたらお前、

その子にうるせぇとかあっち行けとか散々なこと言われて」

ずっと前にそんなことがあったのを思い出す。

「あっ、あった」

「最初は可笑しくて笑いそうになったんだけど、

どんなに酷いことを言われてもそいつを心配し続けるお前を見て、

こんな優しい人間が居たんだなって思った。

俺はあの時から真琴のことが気になり始めてた」

「えっ…」

「けど、学校でのお前は情けなくてポンコツで」

「だからあの時……」

「腹が立って黙っていられなかった」

初めてわたしに声を掛けてきた理斗君の開口一番はかなりきつかった。

『お前さ、見ていて腹立つ』

今、思い出しても胸がぎゅっとなる。

理斗君は「もう少し優しい言い方しろってな」そう言って笑うと話を戻した。

「結局最後、子供から何も出来ない癖にって走って行かれただろ」

「そうだった……」

「お前の優しさが行き場をなくして消えていくのが悲しかったのかもな。

子供には伝わらなかったけど、

誰かに伝わったらって。

それであれを投稿した。

それをまさかお前が見てたとは笑えるな」