横並びにベッドに座るとわたしは理斗君に瑞樹の話をした。

「絵が完成したと同時に瑞樹は居なくなったんだ」

「そうか…」

「瑞樹のことは本当に大好きだった。

でもそれは理斗君を想う気持ちとは別の種類。

今は凄く寂しいけど、でも瑞樹は風になるって約束してくれたから」

「風?」

「わたしがバナナの皮を踏んで転ばないように」

少し考えた後に理斗君は「それはいい」と言って笑った。

わたしは理斗君の笑顔を見ながら詩のことを思い出していた。

「理斗君、ありがとうね」

「何が?」

「夢の中だけでも傍に居てやってって……瑞樹にお願いしてくれて」

理斗君は鼻で笑うとわたしから目を反らす。

きっとこんなことを言われたら照れ臭い訳で。

それでもわたしは思いを伝えずにはいられなかった。