「理斗君……」

なつきが理斗君だったことを今、知った。

わたしはなつきに恋をしていた。

理斗君はずっと前からわたしを助けてくれていたんだ。

そして傍に居て欲しいと何度も思ったなつきは、

すぐ傍に居た。

 理斗君に電話を掛けた。

2回目のコールで理斗君は電話に出た。

「どうした?」

その声を聞いた途端息が詰まって言葉が出せなくなってしまう。

電話の向こうからはわたしを気遣う理斗君の声が聞こえてくる。

「このまま繋いでるから話したくなったら話せばいいよ」

それは何とも優しい響きだった。

「理斗君……」

「ん?」

「これから瑞樹の部屋に行ってくる。

もしも瑞樹が居たら絵を完成させてくる。

居なかったら……それでも絵は完成させてそして……」

また、声が出せなくなってしまう。

時間は21時まであと1分。

息を整え気持ちを落ち着かせた。

「後で理斗君のところに行ってもいい?」

「うん」

理斗君の返事を聞くと部屋を出た。