「アルバイトお疲れ様」

「あっ、はい…」

すぐに沈黙が流れ少しすると彼が話し始めた。

「何から話そうか考えてきたんだけど、

もう随分と誰かと話すことをしていないせいかうまく言葉が出てこない。

あっそうだ名前、お互いにまだ名前も知らなかったね。僕は瑞樹、そちらは?」

「あっわたしは橘真琴、よ、よろしくお願いします」

彼は肩を(すく)めくすりと笑った。

「瑞樹でいいよ、僕も君のこと真琴って呼ぶから。

僕は17歳真琴はまだ制服が綺麗だから高校1年生かな?」

「あっはい。ん?17歳?わたしの…」

「ひとつ上だよ」

「えっ?」

彼はちひろの兄弟だと言っていたのにわたしのひとつ上だとちひろと同じ歳ということになる。

「あっ、混乱させちゃったね。僕とちひろは双子なんだ。二卵性の」

「双子…」

ちひろの兄弟が亡くなっていると知って驚いたのにしかも双子だったなんて。

「二卵性だから一卵性の双子みたいにそっくりじゃないんだけど、君が昨日言った通り髪質だけはおんなじ」

彼は髪の毛をつまみ上げるとそれを上目で見ながらさらさらと落としていく。

ちひろより少し短い髪の毛は元居た場所に戻っていった。