岬さんは涙をこぼしながら、けれど震えることのない声で話した。

瑞樹はそれを拭いてあげることができないのを気にしている。

そんな横顔をしている。

「もう自分を責める必要がなくなったみたい」

「良かった」

「瑞樹はそれを伝える為にもう一度わたしのところに来てくれたの」

「うん、気に入ってもらえたかはわからないけど」

「瑞樹の言葉だもん、気に入るに決まってる」

2人は頭を寄せてくすぐったそうに笑い合う。

でも、別れの時間は来てしまう。

公園の時計は22時を過ぎている。

瑞樹はわたしを見ると「ありがとう真琴、もうこんな時間だね帰ろう」と言った。

わたしはうなずくとそれを岬さんに伝えた。

「中村さん、瑞樹がもうそろそろ帰らないとって言ってる」

岬さんはうるんだ目で瑞樹を見る。

「瑞樹……瑞樹はこのままずっとわたしの傍に居てくれるの?」

瑞樹は何も答えられずにいた。

岬さんはわたしの顔を見る。

けど、わたしも何も言えない。

「嫌だよ瑞樹、ずっと一緒に居てよ。わたしの傍に居てよ」

少しすると瑞樹が言う。

「岬が幸せになってくれることを僕はずっと祈っているよ」

わたしはそれを岬さんに伝えた。

岬さんは下を向いたまま暫く動かなかった。