最初は瑞樹のことが怖くて仕方がなかった。

それでも怖がらないように無理をして普通に話していた。

瑞樹がどれほどの恐怖と孤独の中に居るかを知らずにただ、怖がる素振りを見せないようにしていた。

あの日の瑞樹の言葉を思い出す。

『たくさんの人が居る場所に1人で行くとどうしようもない気持ちになるんだ。

震えが止まらなくなって胸が砕けてしまいそうになる。

自分はここに存在しているのに誰とも目が合わない。

わかっている筈なのに自分が死んでいるという事実を突きつけられて怖くなるんだ』

それを聞いた日、わたしは初めて瑞樹の隣に座った。

もう瑞樹を怖いなんて思わなくなっていた。

それからは、毎日の瑞樹と一緒に居た。

瑞樹が孤独や恐怖を感じてしまわないようできるだけ傍に居ようと思った。

そうしたら瑞樹のことをどんどん知るようになっていった。