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 夜が来るのはあっと言う間で、待ち合わせの公園に瑞樹と一緒に行くと約束の15分前にもかかわらず入口で岬さんが待っていた。

「中村さんごめん待たせたね」

「ううん、ほんの少し前に来たところ」

わたしと岬さんは同じベンチに座り、瑞樹はその隣のベンチに座った。

いざこうして話す前になると何から話せばいいかわからなくなる。

けれど岬さんの言葉で話は一気に本題へと入っていった。

「瑞樹のことならどんなことでも知りたい」

「そうだよね」

「うん、聞かせてくれない?」

わたしは瑞樹と目を合わせると岬さんに目線を戻した。

「中村さんは瑞樹が死んだのは自分のせいだと言ったよね」

「……うん」

「瑞樹はそんな風に思わないで欲しいと思ってるよ。

瑞樹は中村さんが幸せになってくれることを望んでいる」

岬さんは下を向くと膝に置いた手をぎゅっと握りしめ、少しすると正面を向いた。

「橘さんは、本当に瑞樹と親しかったんだね。

瑞樹ならきっとそう言うと……わたしも思う。

ありがとうね、わたしの気を楽にしようとしてくれて。

でも、わたしは瑞樹にしてしまったこと、言ってしまったことの罪を背負って生きていくって決めたの。

だから楽になるつもりはない」

何それ?と思った。

わたしは自分の思いを勝手に口にしていた。