「へぇ凄い」

ちひろはわたしの肩に乗せた頭をうなずくように動かすと話を続けた。

「僕を見るなり走って来て、だから怖くて逃げたんだ。

それでね逃げながらこう思ったの。

何で昨日エサあげたのにまた来るの?って。

僕の役目は昨日で終わったのにって。

そんな様子を理斗が見ていて僕にこう言ったんだ。

『継続出来ないなら最初からエサをやるな』て。

僕は理斗が言っていることがわからなくて、どうしてそんなことを言うのか聞いたら……

『またあの猫はゴミを漁るんだ、あの缶詰の味を知りながら、残酷だと思わないのかよ』て。

僕は助けた気になっていたけど、僕があの猫にしたことは理斗の言う通り残酷なこと……だったんだ」

ちひろは間違ったことをした訳じゃない。

目の前にそんな猫がいたらわたしだってご飯をあげていたと思う。

その時、毎日継続することは考えていない。

でも理斗君はそれを考える人なんだ。