ちひろが家に入ると「お前も中に入った方がいい」と理斗君が言う。

わたしはその言葉に甘えた。

「ごめん、片づけ手伝わないで」

今日瑞樹と一緒に居られる時間は後少し。

わたしは急いで瑞樹の部屋に向かった。

 部屋に行くと瑞樹は窓から夜空を眺めていた。

「真琴、今日はとても楽しかったよ」

「花火、綺麗だったね」

「うん。今までに見た花火の中で一番だった」

わたしは瑞樹の隣に並ぶと、ずっと引っかかっていたことを言葉にした。

「どうしてちひろ達に瑞樹がここに居ることを話しちゃ駄目なの?」

「そんなの怖がらせるだけだから。

特にちひろは怖がりだから僕が居るってわかったら1人でトイレにもお風呂にも行けなくなるよ」

「でも、ちひろは瑞樹が居るってわかったらもっと話したいことがあるかもしれない」

「さっきので十分だったと思う」

「でも、瑞樹が聞いていたことをちひろは知らないよ。

瑞樹が居るのは感じているみたいだったけど」