勢いよく光を噴き上げる花火の儚い光を見逃さないよう右から左左から右へと目を動かした。

「綺麗だね」

「うん」

5つの花火が消えると「次は10個やってみようよ」と言ってちひろは花火を10個並べる。

怖くて火を付けることができないちひろに変わって理斗君が右から晴君は左から火を付けた。

2人が椅子に戻るとたちまち鮮やかな光を放つ花火。

金銀銅と色を変える花火やピンク色の光が星のように煌めく花火、バリバリと音を立てて咲き乱れる花火に白や赤に点滅する花火。

たくさんの色と音と光が飛び交うその光景は圧巻で、贅沢過ぎる時間だった。

 花火が終わり急に静まり返った空の下、ちひろがぼんやりと言葉を口にした。

「綺麗だったね花火。瑞樹も見てたかな……」

花壇の方へ目を向けると瑞樹はこちらを見て顔の前に“シー”と言うように人差し指を立てた。

「きっと見てたと思うよ」

ちひろはわたしの肩に頭を寄せた。

葵ちゃんと晴君は隅に寄せてあったテーブルやコンロを物置小屋へと運ぶ。

理斗君は終わった花火を片付けていた。