夕方になると葵ちゃんと一緒にテーブルや椅子を中庭にセットした。

晴君は部活から帰ってくるとわたし達を手伝ってくれた。

 夏休みが終わる2日前に熱を出した晴君。

その看病をした日から晴君は少しだけわたしに優しくなった。

「いいよ真琴、それ俺が運ぶから」

そしてわたしを“真琴”と呼ぶようになった。

 セッティングが終わると部屋で少し休憩をした。

ソファーに横たわると瑞樹のことが頭に浮かぶ。

明日は瑞樹と一緒に岬さんに会いに行く。

そこで全てを伝えたら、瑞樹とはもうお別れになるかもしれない。

今日が2人で過ごせる最後の夜になるかもしれないけど、

21時になったら中庭に瑞樹を連れて行こうと決めた。

 部屋のドアをノックする音に目を覚ました。

いつの間にか眠っていたようだ。

「どうぞ」

ドアを開けたのは理斗君だった。

「もう6時になるけど?」

「えっ!」

慌ててソファーから立ち上がるとテーブルに足をぶつけた。

「痛っ!」

「うわっダサ」

「ダサいって…痛いのに」

「いや、ダサいだろそれ」

「そうかもだけど、イッタ」

「何かちひろバカみたいな量の肉買ってきてたぞ。

全部1階のキッチンに置いてある」

 理斗君が部屋から出て行くと髪の毛を整え1階に降りた。