「寝ている?」

「うん。瑞樹が行動できるのは1日4時間だけなの。

それ以外はここで寝ている状態になる」

わたしは下を向いたまま理斗君の隣の椅子に座った。

「お前……瑞樹が好きなんだな」

「……」

 知れば知るほど瑞樹は魅力に溢れていた。

同じ時間を過ごす中でわたしは瑞樹のことをどんどん好きになっていたんだと思う。

たくさんの才能があって穏やかでゆったりしていて。

瑞樹が作り出す空気はいつだって柔らかくて優しくて心地良かった。

 理斗君はため息をつく。

「辛過ぎるだろそれ……」

「……」

「もしかして中村岬と急に仲良くなったのも瑞樹のことが関係しているとか?」

「瑞樹の思いを中村さんに伝える為に……」

「それを伝えることができたら瑞樹はどうなる?」

「たぶん……居なくなる」

「今までのこと、詳しく話してくれない?」

 わたしは長い時間を掛けてこれまでのことを全て話した。