時間になり、瑞樹の部屋に行くといつものソファーに座っていた。

「文化祭どうだった?」

「うん、うまくいったよ。ほとんど全部売り切れたし」

「それは良かった」

イーゼルの前ではなくソファーに座った。

今日は絵は描かない。

「瑞樹、岬さんと話したよ」

瑞樹は黙ったまま、次の言葉を待っていた。

「岬さんは瑞樹と同じ気持ちだったよ。

瑞樹のことが今でも好きだって」

瑞樹の顔を見るけれど、その表情からは何も読み取れない。

いつものように穏やかな表情で真っすぐ前を向いたまま話を聞いている。

「岬さん、自分が瑞樹を死なせてしまったんだって……言ってたよ」

「そう……」

 わたしはソファーから立ち上がると窓の前に行った。

今日は雲に隠れて月が見えない。

「あさって……あさっての夜7時過ぎに岬さんと会う約束したよ。

その時、3人で話そう。場所はどこがいいかな?」

「ごめんね真琴、少し考えてもいい?ちょっと整理したい」

「うん」