「5日後かぁ、3日後くらいかと思った。詳しいね月のこと」

そう話すとわたしは後ろに一歩下がった。

美しい彼の姿に混在している違和感がどうしてもわたしの足を後ずさりさせる。

それが何なのかわからなかった。

でも、さっきから吹いていた風が徐々に強くなると不明瞭だったその違和感が顕著(けんちょ)になる。

わたしは顔に掛かった髪の毛を手で寄せるとまた一歩下がった。

そしてこの違和感の理由が的中してしまわないことを祈る。

風が彼の体を通り抜ける。

彼の髪の毛は微動だにしない。

「怖いよね…僕のこと」

「いや、そんなことは……」

「でもね、怖がらせたくないんだけど、僕は君と話す必要があるんだ。それは、僕にしか有意義ではないのだけど」

「それって……どういうこと?」

 ずっと夜空を見上げていた彼がこちらを見る。

影になってその表情ははっきりとは見えない。

「僕に協力して欲しいんだ」

わたしは気持ちをごまかす為に陽気に振舞った。

「えっ?わたしに?わたしなんてポンコツの役立たずだよ、あはははっ」

「君には僕が見えているから」