「いいよ、何も言わなくて」

男子生徒数人の声が近づいて来るけれど、わたし達が居るのを見て引き返したようだった。

今、思っていることをただそのまま伝えようと決めた。

「理斗君?」

「ん?」

「嬉しいし信じられないよ、理斗君みたいな人がわたしなん…」

ヤバいと思って口を閉じるけど遅かった。

「なんかって言おうとしただろ」

バレた、そう思ったけどごまかそうと頑張った。

「いや、してない」

顔を上げると理斗君は目を細めてわたしを見ている。

「お前が嘘を吐くとは意外だな~」

「うぅ……ズルいよそれ」

「どこがだよ」

「白状するしかなくなるもん」

理斗君はプッと笑うと正面を向いた。

そしてゆっくりと話し始める。

その横顔は笑顔だ。