午後になり、ステージでのバンド演奏やカラオケ大会などのイベントが行われることもあって訪れる人もまばらになってきた。

「橘さんそろそろ休憩に入った方がいいよ」

わたしを気遣って岬さんが声を掛けてくれた。

「そうしようかな。ちひろとスタンプラリーに行く約束しているし」

「そうなんだ、楽しんできてね」

わたしはちひろにメッセージを送ると渡り廊下で待った。

伸びをして柵に両手を掛けると力が抜け、疲れていたことを実感する。

少しするとちひろの足音が聞こえてきた。

パタパタと走る足音は見なくてもちひろだとわかる。

「真琴、お待たせ~」

ちひろは隣に来ると手に持ったプリントを広げた。

「どこから回る?1階の美術室から行こうか?」

「うん、いいよ」

スタンプラリーは全部で7つで、美術部や写真部、家庭部に書道部などの作品を見て回るようになっている。

その他にも黒板アートや、段ボール作品などの展示もあるようだった。

 美術、書道、写真と見て回り、段ボールアートが展示されている体育館に向かう途中で誰かがちひろに声を掛けた。

「ちひろ」

振り向くと女子生徒の姿。

「あっ、みお」

「あのさ橋本君が具合悪くしちゃったから教室に戻って受付の仕事手伝ってもらえない?」

「えーっ僕?」

「お願い!わたしバンド演奏あるから無理なんだ」

 みおさんはわたしに「ごめんね、せっかく2人でスタンプラリーしていたのに」そう言うとちひろの背中を押す。

悲しい顔をしてわたしに手を伸ばすちひろが可笑しかった。

「頑張ってね~ちひろ~」

「嫌だよぉ真琴~」