瑞樹が笑顔でこっちを見ていた。

「ん?」

「大変なことがあったら言えよ、だって。

しかもあの笑顔、初めて見たよ」

そういえば前は笑顔なんて見せてくれなかった。

でも今は、理斗君の笑顔を頭に思い浮かべることが出来るくらい見ている。

「理斗にとって真琴は特別な存在なんだね」

「えっ?」

「真琴にとっても」

瑞樹はにっこりと笑うと茶色の絵具を指差した。

「この色をほんの少し混ぜるといいよ」

瑞樹の言葉に何だか胸のあたりがそわそわして絵具を適量取り出すことができなかった。

「真琴、出し過ぎだよ」

「瑞樹が変なこと言うから」

「そうだね、間違いなくこれは僕のせいだ」

くすくす笑う瑞樹はまるでアニメに出てくるウザキャラだ。