「あれ?電気が付いている……びっくりした、ここで何してんだよ」

部屋に入ってきたのは理斗君だった。

「あっ、ん~と、絵を…描いていて。その…未完成だったから完成させようかな~って……り、理斗君はどうしてここに?」

「俺は本を借りようと思って」

「そうなんだ」

「勝手に絵を完成させて怒られたりして。

瑞樹から」

わたしは瑞樹の顔を見ながら答えた。

「それは大丈夫かな」

「まるで瑞樹から許可でももらったみたいな言い方だな」

「いや、何となく……」

理斗君はわたしに背を向け本を探し始めた。

「あのさ理斗君、ちひろには内緒にしてくれる?

ちひろからここに入っちゃ駄目って言われていたの」

「お前が言われたことを破るとか意外」

「そ、それは…」

「別にわざわざちひろにそんなこと言わないよ」

理斗君は本を2冊手に取ると一冊戻し部屋を出て行った。