話が途切れ絵を描くのを再開した。

筆に絵具を取ると木組みの建物に色をのせていく。

イメージしていたのと少し違う色になりいったん筆を下すと岬さんの話をした。

「もうそろそろ岬さんに瑞樹のことを話せそうだよ」

少しずつ描き進めた絵は、いくら時間を掛けてもあと数回で完成してしまう。

この時間がなくなるのが嫌で最近では描いている時間よりも話している時間の方が長くなっていた。

「そう、本当にありがとう真琴」

「うん……」

瑞樹はベージュの絵具を指差す。

「ほんの少しだけこの色を混ぜるといいよ」

絵具を手に取るとパレットに少し出して手を止めた。

「瑞樹」

「何?」

───岬さんに気持ちを伝えたら瑞樹は居なくなってしまうの?

言い掛けた言葉を飲み込んだ瞬間部屋のドアが開いた。

やばい……。