夜、絵を描きながら瑞樹に葵ちゃんの話をした。

「葵ちゃん毎日学校行ってるよ。それに今日、友達もできたんだよ」

瑞樹はその様子を思い浮かべるような顔でわたしの話を聞いている。

今日の出来事を全部話すと瑞樹は嬉しそうな笑みを浮かべた。

「岬さんがわたしにしてくれたことを葵ちゃんにしたんだ。

わたしは岬さんのお陰でクラスのみんなと仲良くなれそうなんだよ。

あと、理斗君のお陰で自分から学級委員の男子に声を掛けることができた」

「真琴にとって理斗はとても頼りになる存在なんだね」

瑞樹の言う通りだ。

何かある度に一番に顔が浮かぶのは理斗君で、

悩み事も相談事も全部話してきた。

そしていつも理斗君はわたしには辿り着けなかった答えをくれた。

「理斗君は人の気持ちが目で見えているみたいにわかるんだ」

ちひろと同じで瑞樹にとっても理斗君はあまり歓迎できない存在。

わかっているけど瑞樹には理斗君の良いところを知って欲しかった。

でも、瑞樹はとっくにわかっていた。

「そうだね、理斗はとても人の気持ちを考える子だね。少し可哀想になるほど」そう言ってにこっと笑う。

「可哀想?」