もうすぐ行われる文化祭での出し物についての話し合いが行われた午後、
学級委員のわたしは相変わらず黒板の前で声を震わせていた。
「で、では、文化祭の出し物を決めたいと思います。
提案がある人は挙手をお願いします」
文化祭の話に教室は騒がしくなり、挙手をすることなく自由に話し始める。
「お化け屋敷とか」
「準備面倒臭い」
「謎解きゲームは?」
「誰がその謎考えんの?」
「頭がいいやつ」
さっきまで隣に居た男子学級委員の渡辺君はいつの間にか席に座って後ろの男子と談笑している。
「あの……挙手を……」
わたしの声に耳を傾ける人は居ない。
前にもこんなことがあったのを思い出して理斗君の顔を見た。
あの時理斗君はわたしを睨んでいたけど、
今日は机に頬杖を付いて藤堂君の話に相槌を打っている。
それでも頭の中ではあの日、
初めてわたしに声を掛けてきた理斗君の強烈な言葉がこだましている。
ふうっと息を吐くと勇気を出して渡辺君に声を掛けた。
「渡辺君、前に来てくれる?」
意外にも渡辺君は「ごめん」と言ってすぐに立ってくれた。
こんなことを人に言ったのは初めてで、心臓がバクバクしている。
けど、ほっとしている。
言ってみると意外と聴いてもらえることを知った。
学級委員のわたしは相変わらず黒板の前で声を震わせていた。
「で、では、文化祭の出し物を決めたいと思います。
提案がある人は挙手をお願いします」
文化祭の話に教室は騒がしくなり、挙手をすることなく自由に話し始める。
「お化け屋敷とか」
「準備面倒臭い」
「謎解きゲームは?」
「誰がその謎考えんの?」
「頭がいいやつ」
さっきまで隣に居た男子学級委員の渡辺君はいつの間にか席に座って後ろの男子と談笑している。
「あの……挙手を……」
わたしの声に耳を傾ける人は居ない。
前にもこんなことがあったのを思い出して理斗君の顔を見た。
あの時理斗君はわたしを睨んでいたけど、
今日は机に頬杖を付いて藤堂君の話に相槌を打っている。
それでも頭の中ではあの日、
初めてわたしに声を掛けてきた理斗君の強烈な言葉がこだましている。
ふうっと息を吐くと勇気を出して渡辺君に声を掛けた。
「渡辺君、前に来てくれる?」
意外にも渡辺君は「ごめん」と言ってすぐに立ってくれた。
こんなことを人に言ったのは初めてで、心臓がバクバクしている。
けど、ほっとしている。
言ってみると意外と聴いてもらえることを知った。