全員自分達のテーブルに戻り調理を始めると、

潰したじゃがいもと具材を混ぜながら岬さんが話す。

「もっと橘さんのことをよく知れば、誰も悪く言わなくなると思う」

「わたしのことを知れば……?」

「そう、みんな橘さんのことを知らないだけ。

知れば絶対に変わるよ。

今だってみんな橘さんが千切り上手だって知って拍手してくれたでしょ。

綾音さんも褒めていたし」

「だからみんなに見るように声を掛けてくれたの?」

「ごめんね、緊張させちゃったよね。でも、本当に凄いから見て欲しかったの」

にこっと笑う岬さん。

わたしの置かれた状況を変えようとしてくれているのが伝わってきて、

だから岬さんのことがますますわからなくなった。

岬さんに対する嫌悪と好意、わたしの中で相反する感情が衝突を繰り返していた。