夜、葵ちゃんの話を聞いて欲しくて理斗君の部屋に行った。

部屋に行くと相変わらず理斗君は勉強をしていて、それでもわたしの様子を見てすぐにノートと教科書を閉じてくれた。

「さて、何の話?」

「ごめんね勉強の邪魔して」

理斗君はドアに寄り掛かって話すわたしに座るように手で合図をする。

椅子に座ると本題に入った。

「あのね、葵ちゃんが明後日から学校に行くって」

「ほう」

「葵ちゃん、どのくらいの間学校に行ってないの?」

「ん~1年の時も2年の時も休みがちではあったけど、3年になってからは1回も行ってないかもね」

「明後日、学校まで一緒に行って欲しいって言われて」

「随分と懐かれたもんだな」

「そうなのかな。それでわたし何かもっと出来ることないかなって」

理斗君は少し目を細めると頬杖をつく。

いいアドバイスが来ると期待するけど理斗君の口から出た言葉はわたしが思っているものとは違った。

「別に本人が学校まで付いて来て欲しいって言ってんだからそれだけやってやればいいだろ?」

「えっ…」

納得がいかず食い下がった。

「もっと他に出来ることがあると思うんだよ」

「あったとしてもそれは本人にとってプレッシャーになるだけだよ。

葵も葵で自分の負担にならない程度のことをお前に頼んでんだよ、今は余計なことはしない方がいい」