「わたしも学校行こうかな……。

来年わたしも真琴さんと同じ優美高校に行きたいから学校に行かなきゃなんだけど……」

「怖い?」

そう聞いてしまうのは葵ちゃんの華奢な手がぎゅっと握り込まれていたから。

「わたし、お金持ちの家の子って理由でいじめられるようになって。

クラスで目立っている女子3人組に毎日のように嫌がらせされて……靴捨てられたり、

階段を下りている時に上からゴミ落とされたり……」

「酷いね」

「でも、そろそろ学校に行かないと……」

「葵ちゃんの学校が始まるのって……」

「明後日から」

「わたしと一緒だね」

「行きたくないけど……」

そう言って葵ちゃんはうつむいてしまう。

わたしは自分に出来ることを考えるけれど、何も思いつかない。

「何か出来ることがあったらしてあげたいんだけど……」

そんな言葉を口にすると葵ちゃんがゆっくりと顔を上げた。

「一緒に行ってくれる?真琴さんに学校まで付いて来て欲しい……」

「もちろんオッケーだよ!」

「でも、もしもやっぱり学校に行けなくなったら……その時は……」

「うん、わかった」

わたしは葵ちゃんと連絡先を交換した。

「明後日おうちの前に付いたら鳴らすね」

「うん」

酷いことをしてくる人間が居る場所に自分から向かって行くのだからその勇気は相当なものに違いない。

だからもっと葵ちゃんの為に出来ることがあるなら協力したいと思った。