線香花火の光を見ていると突然「理斗と知り合いだったんだね」とちひろが言う。
「えっ…」
線香花火はまだ、わたしのもちひろのも淡く細かい光を放っている。
「この前カフェに居るところ見たんだ。
あのカフェのすぐ近くにうちのホテルがあって、休憩中ぶらぶらしていたらたまたま見掛けて」
「そうだったんだ。あの日初めて理斗君がその……ちひろの弟さんだって知ったの」
ちひろの線香花火が終わってすぐにわたしのも終わった。
「学校も一緒だし同級生だから知っているかなとは思っていたんだけど、確認する気が起きなくて……黙っていてごめんね。驚いたよね」
「うん……わたしも言い出せなくて」
ちひろは2本の花火に火をつけるとわたしに1本くれる。
「僕が黙っていたからだね。でも、真琴が知ったらそれがきっかけになって理斗と仲良くなっちゃうかもって思ったんだ。
僕にとっては理斗は敵だからあまり仲良くなって欲しくなかったの」
線香花火が光の形を変えて華やかに舞い散る中、ちひろはいつもよりも低い声でそれを言った。
「僕は絶対に負ける訳にはいかないんだ。
子供の頃からずっと後継ぎになる為だけに生きてきたから。
それが本当にやりたいことなのかとかそんな疑問も抱かずにただその為だけに」
「えっ…」
線香花火はまだ、わたしのもちひろのも淡く細かい光を放っている。
「この前カフェに居るところ見たんだ。
あのカフェのすぐ近くにうちのホテルがあって、休憩中ぶらぶらしていたらたまたま見掛けて」
「そうだったんだ。あの日初めて理斗君がその……ちひろの弟さんだって知ったの」
ちひろの線香花火が終わってすぐにわたしのも終わった。
「学校も一緒だし同級生だから知っているかなとは思っていたんだけど、確認する気が起きなくて……黙っていてごめんね。驚いたよね」
「うん……わたしも言い出せなくて」
ちひろは2本の花火に火をつけるとわたしに1本くれる。
「僕が黙っていたからだね。でも、真琴が知ったらそれがきっかけになって理斗と仲良くなっちゃうかもって思ったんだ。
僕にとっては理斗は敵だからあまり仲良くなって欲しくなかったの」
線香花火が光の形を変えて華やかに舞い散る中、ちひろはいつもよりも低い声でそれを言った。
「僕は絶対に負ける訳にはいかないんだ。
子供の頃からずっと後継ぎになる為だけに生きてきたから。
それが本当にやりたいことなのかとかそんな疑問も抱かずにただその為だけに」