バスに揺られながらわたしはちひろと理斗君のことを考えていた。

理斗君のことを良く思っていないちひろ。

わたし達が仲良くなるのが嫌でちひろは隠していたのかもしれない。

 わたしはもう一度手帳から理斗君が書いたメモを取り出す。

何度見ても飽きることなく見惚れる綺麗な字を見ながらちひろが言っていたことを思い出す。

 中学2年生の時に後継者になることを決めてちひろの家に来た理斗君。

歓迎されない環境で生活をすることは中学2年生の男の子にとってどれだけ苦痛だっただろう。

今だってそうだ。

理斗君にとってあの家は居心地のいい場所では決してない。

しかも来年アメリカに留学すると言っていた。

後継者になる為にまた、厳しい環境に身を置こうとしている。

そこまでして後継者になろうとしている理由とは一体どんなものなのだろう。

 屋上で話した時、何か大きなものを背負っているように見えた。

でもそれはわたしが想像する以上に大きなものだった。