わたしはメモを一枚一枚見た。

すると、感慨深い気持ちになった。

「これ、理斗君が書いてたんだね。

わたし、初めてこの字を見た時鳥肌が立ったんだよ。

それで、こんな綺麗な字を書く男の子がどんな人なのかずっと気になってた。

そしたら理斗君だった」

「ほう、それは残念だったな」

「いや、残念じゃないけど」

「不服とか?」

「いや、そうじゃなくて、不思議な気持ち。

全然知らない人だと思ってたから」

 メモを見ているとあることに気が付いた。

「苦手な食べ物甘いものだったね、もしかしてグミ苦手だった?」

「あれはぎりぎりいけた。

それより一緒に帰る訳にいかないからお前先に帰れよ」

「一緒に帰ると何か悪いことあるの?」

「ちひろから聞いてないのかよ、俺はあいつらの敵みたいなもんだよ」

「あっ…」

「聞いてはいるみたいだな」

「う、うん。ちひろは理斗君のこと母親が違う弟って言ってた。

それと後継者のことも。

あれも全部理斗君のことだったんだね」

「お前の立場が悪くなるから俺には関わらない方がいい」

そんなことを話しているとバスが到着し、理斗君は本屋に寄って帰ると言って歩いて行った。