食事が終わり伝票を持ってレジに向かう途中、男性店員さんが理斗君に声を掛けた。
「あれ?理斗じゃん!」
「カズ、ここでバイトしてんの?」
2人は友達のようでわたしは後ろでその様子をうかがっていた。
「そう、1ヶ月くらい前から。あっちょうどいい、理斗の住所聞きたくて連絡しようと思ってたんだよ」
カズという人は理斗君の手から伝票を取ると早足でレジに向かった。
レジに行くと書くものを探している様子の彼に理斗君が声を掛ける。
「何で住所知りたいの?」
「うちの母親が理斗の母親に送りたいものがあるんだって、サプライズだから本人に住所聞く訳にいかないって」
カズ君はお客さんが置いていったレシートを入れ物から取り出すとペンと一緒に理斗君に渡した。
「お前間違って捨てんなよ」
そう言って理斗君は顔をしかめると住所を書き始めた。
彼はわたしに向かて手を合わせると申し訳なさそうに謝る。
「ごめんね彼女、時間取らせて」
「あっ、そ、その彼女じゃないです」
そう答えると理斗君から「名前わかんないから“彼女”て言ったんだろ?」と言われ恥ずかしくなって笑ってごまかした。
そして赤くなった顔を隠すように下を向くと理斗君の文字が目に入ってくる。
「えっその字!」
わたしは思わず大きな声を上げた。
理斗君は手を止めるとわたしを見る。
「何か間違ってんの?」
「いや、違う。ごめん続き書いて」
わたしは書き出されていくその字をじっと見る。
跳ねるところは跳ねて止めるところは止める。
意思の強そうなしっかりとした美しいその字は───夏君の字なんだ。
でもそれを書いているのは理斗君。
頭の中が混乱した。
「あれ?理斗じゃん!」
「カズ、ここでバイトしてんの?」
2人は友達のようでわたしは後ろでその様子をうかがっていた。
「そう、1ヶ月くらい前から。あっちょうどいい、理斗の住所聞きたくて連絡しようと思ってたんだよ」
カズという人は理斗君の手から伝票を取ると早足でレジに向かった。
レジに行くと書くものを探している様子の彼に理斗君が声を掛ける。
「何で住所知りたいの?」
「うちの母親が理斗の母親に送りたいものがあるんだって、サプライズだから本人に住所聞く訳にいかないって」
カズ君はお客さんが置いていったレシートを入れ物から取り出すとペンと一緒に理斗君に渡した。
「お前間違って捨てんなよ」
そう言って理斗君は顔をしかめると住所を書き始めた。
彼はわたしに向かて手を合わせると申し訳なさそうに謝る。
「ごめんね彼女、時間取らせて」
「あっ、そ、その彼女じゃないです」
そう答えると理斗君から「名前わかんないから“彼女”て言ったんだろ?」と言われ恥ずかしくなって笑ってごまかした。
そして赤くなった顔を隠すように下を向くと理斗君の文字が目に入ってくる。
「えっその字!」
わたしは思わず大きな声を上げた。
理斗君は手を止めるとわたしを見る。
「何か間違ってんの?」
「いや、違う。ごめん続き書いて」
わたしは書き出されていくその字をじっと見る。
跳ねるところは跳ねて止めるところは止める。
意思の強そうなしっかりとした美しいその字は───夏君の字なんだ。
でもそれを書いているのは理斗君。
頭の中が混乱した。