じっとこちらを見る理斗君に思わず目を逸らしてしまう。

「自分に自信がないんだと思う……」

「だったら尚更そんな言葉使うな。その言葉に逃げるな。

いいか?“なんか”の後には絶対にポジティブな言葉はつかないんだよ。わたしなんかできるって言わないだろ?わたしなんかと一緒に頑張ろうとかも変だし」

「本当だ……」

理斗君の言う通り、わたしはこの言葉に逃げていた気がする。

「理斗君の言う通りだよ、これからは使わないようにする。ありがとう」

理斗君は水が入ったコップを掴むとその水滴を紙ナプキンで拭き取りながら話す。

「はっきりと意思表示できないところとか見ていて腹が立つけど、

素直だし人のことよく考えるし人の文句言わないし、俺はお前のこと嫌いじゃないよ」

突然そんなことを言われて顔が熱くなった。

理斗君はコップをコースターの上に戻すと言葉を続けた。

「他のやつらとは違って信用できる」

「えっそんな風に思ってくれているの?」

理斗君の言葉は凄く嬉しくて、けれど照れ臭くてますます顔が熱くなった。