理斗君の言う通り学校を休んでいる間にわたしは学級委員になっていた。

だからやりたくてやっている訳じゃないし、

仕事を押し付けられるのだって正直嫌だ。

でも、それをはっきりと言葉で伝える勇気がない。

腹が立つと言われても、とにかくそういうのが苦手なんだ。

 自分が思っていることをこんなにもストレートに言える理斗君が羨ましいと思った。

言われた方はへこむけど。

 廊下から騒がしい声が聞こえてくる。

「教室にスマホ忘れるとかマジありえねぇ。

命の次に大事だっての」

少し乱暴な口調は顔を見なくても綾音さんだということがわかる。

「ごめんごめん」

次に聞こえてきたのは紬さんの声。

どうやら紬さんが教室にスマホを忘れ、それを取りに戻ってきたようだ。

 理斗君に何か言わなきゃと言葉を探すけど話す前に教室から出て行ってしまった。

きっと面倒臭くなったのだと思う。

廊下からは理斗君と話す綾音さん達の声が聞こえてくる。

わたしは教室を出ると気配を消してその脇を通り過ぎた。