そのスキルを使用した瞬間私の精神がすり減っていくのが分かった。
 
 まるで得体の知れないものが入ってくるかのような感覚になる。
 
 しかしこれしか方法がなかった。
 
 このスキルを見たエリック達が驚愕しているのがわかる。
 
 そしてヨルフも一瞬硬直しているのが確認できたがすぐにニヤリと笑いながら近づいてくる。
 
 「なんだ......ここにいたのかい? ローザ」
 
 ヨルフはニヤリとした表情で私に近寄ってくる。
 
 「君に影の龍力を渡したのは間違いだったよ。 龍力に適応ができず、精神が崩壊した雑魚だからねえ? まあ僕は寛大だから今ここで楽に殺してあげるとするよ」
 
 そう話しながらどんどん近づいてくる。
 
 エリックとリズはヨルフの言葉の意味が分からなかったのか怪訝そうな顔をしている。
 
 しかし、私は理解ができている。
 
 王都周辺を襲った少女の名前はローザだ、そしてそのローザが影の龍力を手に入れたと聞いている。
 
 だとすれば恐らくこいつが元凶なのだろう。
 
 「お前はここから逃がさないぞ」
 
 私はヨルフを見つめて呟く。
 
 「あ?  まだ抵抗する気かい?  いい加減飽きてきたところだけどさ、鬱陶しいんだよね君」
 
 私は腕を前に出して唱える。
 
 《ダークネス》
 
 するとヨルフに目掛けて影が動き出しヨルフの体へとどんどん纏わりついて行く。
 
 「鬱陶しいのはこっちのセリフだよ、お前はもうじき影の中へ飲み込まれる」
 
 次第にヨルフの姿が影に覆われる。
 
 その状態に抵抗するようにヨルフは叫び始めた。